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法話 私と阿弥陀仏との距離

法話 私と阿弥陀仏との距離

 

 

今日はですね、「阿弥陀様と私との距離感」について考えさせてもらいたいと思います。
 
皆さんのお母さんとの距離感はどうですか?私もお母さんがおります。どうですか、すごく親密ですね。
 
色んな親子関係があると思いますけれども、特に小さい時とか、一心同体と言ってもいいぐらい心が通うというか、そういうものがありますね。
 
その関係と比べて、皆さんと阿弥陀さまの関係っていうのはどうでしょうか。
 
「はるか彼方に離れている」という方もいらっしゃるかな、と思います。
 
私もそうでした。
 
聞きき始めたときは、はるか宇宙の彼方におられるような、そういう感じがいたしました。
 
でもですね、浄土真宗の教えで他力信心を頂くという事は、
機法一体(きほういったい)という言葉もあるんですけど、私と阿弥陀様、他力信心をいただいた私とそして阿弥陀様、私を救いたいと思っている阿弥陀さまは一体である、と。そういうふうに言われているんです。
 
だから、その距離感について、自分はどうなんだろうかということを気にかけてもらいたいな、と思うんです。
 
例えばですね、私は昨日、こんな言葉を読んだんです。
 
皆さん『モモ』っていう有名な小説をご存知ですか? ミハエル・エンデという作者の小説で、とても有名ですね。
 
 
『モモ』 wikipediaページ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%A2_(%E5%85%90%E7%AB%A5%E6%96%87%E5%AD%A6)
 
 
時間泥棒という言葉が有名になりましたが、その『モモ』という小説を書いたエンデは、素晴らしい言葉をたくさん残しておられます。その中にこんなものがあるんですね。

皆さん、机はご存知ですね。
 
ちょっと皆さん、こうイメージしてもらいたいんですけどね

目の前に机があるとします。そしたら皆さんは「あ、これは机だ」と思うでしょう。わかりますね。

机といういうことが分かるというのは、机っていうものをすごく認識しているからなんですね。
 
目の前に置かれた机があるとします。そしたらそれを見た私たちは、いろんなことが分かりますね。「ああ、これは四人家族ぐらいのものやなぁ」とか「六人にはちょっと小さいなあ」とか。
 
例えば「これは勉強机だな」「勉強机でもこれは小学校の子が使うようなもんだなぁ」とかね。色んな事が机を目の前にしただけで思い起こすことができる。
 
それはその背景を、色々私たちが知っているということです。
 
でもエンデがこういうんですね。たとえばここに火星人がいたとしたら、目の前に机があったらそれが何のことかはさっぱり分からないだろう、と。「何に使うものなのか」「何のためのものなのか」と。
 
私はこれ読んだとき、阿弥陀さまのことを思ったんです。火星人と机のような関係であってはいけないですね。
 
阿弥陀様がどんな思いで私たちを思ってくださっているのか。阿弥陀様っていわれた時に「こうだ、こうだ、こうだ」と、色々なことがわいてきてこその「阿弥陀様と私の関係」だと思うんですね。
 
じゃあ、そういうふうになるにはどうしたらいいのか。
 
一つ、これはいいなという本の書き出しを見つけました。
 
これはね大峯顕先生の『今日の宗教の可能性』という本ですが
 
 
『今日の宗教の可能性』amazonページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4894162008
 
 
妙好人と呼ばれた方々がおられますね。他力信心を喜ばれた方々です。その中で浅原才市という、とても有名な人がいるんですね。
 
 
浅原才市 wikipediaページ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%85%E5%8E%9F%E6%89%8D%E5%B8%82
 
 
この才市さんは本当に何の学問もない方だったんですね。もう地道に貧乏暮らしをされてる方だったんですが、すごく御法を喜ばれて、ノートに残してはるんです。喜ばれてからの心境とか、色々書いておられるんですね。
 
それで自問自答して書いておられる。自分で「才市、」と書いてですね、また自分で「へい」と書いている。
 
「今説教をしたのは誰じゃ」
「安楽寺の和尚でございます」

これ、自分で書いてるんですよ。
そして、
 
「そうじゃあるまい」

と自分に言うんですね。
 
「蓮如さんでございます」
「そうじゃあるまい」
「阿弥陀の直説、南無阿弥陀仏でございます」
 
とメモが残っているんです。

これはどういうことかというと、ご法話を聞いていてね、「○○先生がこんなことを言っている」「△△先生がね今日はこんな事言われている」っていうとこを超えて、私の口を通して阿弥陀様がね、直に皆さんにお話をしてくださっているという風に聞きなさいよ、ということなんですね。
 
これは人間の言葉ですけども、人間の言葉を超えて、「阿弥陀様が今私のために説法してくださってるんだ」「何を伝えてくださっているのか」という聴き方を
してくださいということが、才市さんの言葉から分かりますね。
 
今日はそのことは皆さんにお伝えしたいと思いました。

 

(西本願寺ブラジル別院 2018.4)

 

 

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略歴


久保光雲(くぼ・こううん)


広島出身。画家、僧侶(浄土真宗本願寺派)。京都市立芸術大学(陶芸科)を卒業。陶器製作に加え画家としての活動も始め、関西・仙台・アメリカにて絵画展を開催。龍谷大学大学院博士後期課程(真宗学)単位取得満期退学。2012年からカリフォルニア州の米国仏教大学院に留学。サンフランシスコやバークレーの寺院で法話を行う。2015年7月よりブラジルにて、開教使(海外布教僧侶)として赴任中。

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