第四章 小結
本章においては伊藤康善の布教者とジャーナリストとしての業績を詳細に見てきた。自己の獲信の後に布教を開始し、優れた筆力によって仏教ジャーナリストとして活動し、著述と布教によって華光会という団体まで創設したことは、特筆すべき点であろう。
著述活動が目立つ伊藤だが、架空の物語を創作する小説家であったわけではなく、求道体験を記録したものは実話である。
そして著作群を一貫するテーマは、自力と他力の廃立、つまり他力信心であった。その著作を読んで仏法に興味を抱き求道を開始した人が多数あったという事実から、伊藤の作家活動はそのまま布教活動であったともいえよう。
しかしながら、たとえ目立った布教実績があったとしても、その信心が異安心である、もしくは布教方法に何か問題があったならば、その実績を安易に認めるわけにはいかないであろう。
次章では、伊藤のすすめた信心を検討し、それが真宗教学に沿ったものか否かを検証する。また同時代の他の布教者と比較した場合に、伊藤の布教方法にどのような特徴があるのかを考察する。
第四章の参考文献
1 増井悟朗 『廻心の体験』 九頁。
2 国嶋貴八郎 『結核斯くすれば必らず全治する』 三四~六九頁。
3 国嶋貴八郎 『結核斯くすれば必らず全治する』 二二一~二二五頁。
4 伊藤康善編 『死を凝視して』 一四一、一四三頁。
5 伊藤康善編 『華光出佛』 五、四五、一一七、一一八頁、伊藤康善編 『死を凝視して』 一二七、一四二、一四三頁。
6 伊藤康善編 『華光出佛』 四頁。
7 伊藤康善編 『華光出佛』 八頁。
8 伊藤康善編 『華光出佛』 一〇~一一頁。
9 伊藤康善編 『華光出佛』 一五~一六頁。
10 伊藤康善編 『華光出佛』 二八頁。
11 伊藤康善 『仏敵』 一八九~一九〇頁。
12 伊藤康善編 『華光出佛』 三三頁。
13 伊藤康善編 『華光出佛』 四一頁。
14 伊藤康善編 『華光出佛』 四一~四二頁。
15 伊藤康善編 『華光出佛』 四七頁。
16 伊藤康善編 『華光出佛』 四八頁。
17 伊藤康善編 『華光出佛』 五〇頁。
18 伊藤康善編 『華光出佛』 五七頁。
19 伊藤康善編 『華光出佛』 六一~六二頁。
20 伊藤康善編 『華光出佛』 六三頁。
21 伊藤康善編 『華光出佛』 六六頁。
22 伊藤康善編 『華光出佛』 七一頁。
23 伊藤康善編 『華光出佛』 七三頁。
24 伊藤康善編 『華光出佛』 七五頁。
25 伊藤康善編 『死を凝視して』 一四六頁。
26 伊藤康善編 『死を凝視して』 二九頁。
27 伊藤康善編 『死を凝視して』 八〇~八一頁。
28 伊藤康善編 『死を凝視して』 九一頁。
29 増井悟朗・西光義敞 『無碍道』 五八~六五、七一~七七頁、増井悟朗編 『廻心の体験』 八~一〇、二六頁、華光会 『華光』 増井悟朗先生追悼号 八五~八六頁。
30 増井悟朗 『親指のふし』 一五〇~一五五頁。
31 華光会 『華光』 一一―五号 二頁。
32 華光会 『華光』 一一―五号 二頁。
33 華光会 『華光』 一一―五号 二頁。
34 伊藤康善編 『死を凝視して』 三一頁。
35 西光義敞 『わが信心わが仏道』 二四頁。
36 伊藤康善 『安心調べ』 ⅰ頁。
37 伊藤康善 『安心調べ』 ⅱ頁。
38 伊藤康善 『安心調べ』 ⅴ~ⅵ頁。
39 伊藤康善 『安心調べ』 二九七~二九八頁。
40 伊藤康善 『アメリカ同行順礼記』 一八九~二一三頁。
41 伊藤康善 『アメリカ同行順礼記』 四〇頁。
42 伊藤康善 『アメリカ同行順礼記』 七七~八八頁。
43 伊藤康善 『アメリカ同行順礼記』 九二頁。
44 伊藤康善 『アメリカ同行順礼記』 九四頁。